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きょうだい児がいる子の就学先決定

〜障がい児ときょうだい児の笑顔のために〜

✳︎きょうだい児とは✳︎

病気や障がいをもつ兄弟姉妹がいる子どものこと。きょうだい児は親の関心が自分以外に向けられがちで、周りにからかわれて傷ついたり、親を困らせたくないと相談できずに孤独感を抱えやすいとされています。

 息子は自閉傾向のある知的障害があり、小学校の特別支援学級に在籍しています。今はきょうだい児のお姉ちゃんと一緒に通学しています。

息子の就学先決定の際は、お姉ちゃんと同じ小学校に通わせるかどうか正直悩みました。お姉ちゃんがいじめられたりしないか、嫌な思いをしないかとても心配だったのです。就学相談を受ける中で頂いた様々なアドバイスやその時の私の思いを綴っていきたいと思います!!

(※きょうだい関係については家庭により様々だと思いますので、あくまで我が家のケースとして参考程度に読んでいただけたら嬉しいです!)

息子の就学相談が始まったのは年長の6月。

就学相談が始まった当初はまだトイレでうんちができず、トイトレが完了しなければ特別支援学校、完了できて発達的にも可能ならば小学校の特別支援学級、と両方検討していました。そしてどちらの学校に行った場合でも、きょうだい児のお姉ちゃんにどのような影響があるかを日々考えていました。

 就学相談が段階的に進んでいたそんなある日、息子が急にトイレでうんちができるようになりました。(トイトレ完了は就学先決定の一つの判断材料となるので、就学相談の時期に間に合えば良いですが、息子のようにギリギリになることも…)身辺自立も完了し、就学相談の発達検査結果からも小学校の特別支援学級を勧められました。

さて、どうしたものか。息子をお姉ちゃんと同じ小学校に通わせるか、または息子だけ越境して他の小学校に通わせるという選択肢もありました。しかし特別支援学級の子の学区外就学は通常級の子のそれよりも難しいと聞いていました。だったら別々の学校になるように特別支援学校に通わせた方が良いかもしれないという考えもありました。

 娘にもどうしたいかを聞いてみると、「弟と一緒に通学したい!!」しかしこの時娘はまだ小学校の低学年。その時は良くても、思春期になると弟のことで周りの目が気になったり、嫌な思いをするのではないかと思いました。娘は周りから嫌なことをされても嫌だと言えず、思っていることを吐き出せないタイプなので余計に心配でした。

息子と娘の今後について悩んだ私は、3人の専門家に相談をしました。小学校のスクールカウンセラーの先生、就学相談の相談員さん、発達相談でお世話になっているお医者さん。

以下、3人の先生方に頂いたアドバイスをまとめました。

⭐︎小学校のスクールカウンセラーの先生の意見

・思春期について

思春期とは、自分と他者との違いを見つけて指摘したり批判しあったりする時期。その時期はお姉ちゃんも弟くんのことで何か言われるかもしれないし、弟くんのことがなくても他の点に目をつけられて批判されたり嫌な目に合うことはある。

・お姉ちゃんが嫌な思いをした場合について

弟くんのことで周りから嫌なことを言われたら、それは周りの認識が違うよ、悪口だよと伝え、そこで弟に対する親の思いをきちんと伝える。親の考え方をお姉ちゃんに伝えるチャンスでもある。また、何かあったらそこで指導するのが学校の仕事なので、嫌な思いをしたらすぐに言って欲しい。

・越境通学により違う小学校に通うことについて

別々の小学校に通った場合に、一緒ではない違和感を感じることがあるかもしれない。弟くんもなぜお姉ちゃんと違う学校なのかに疑問を抱き、その理由を理解する日がくるだろう。姉弟は基本ずっと一緒にいるもの。可能ならば同じ学校の方が良いと思う。また、別々の小学校に通うことでイベントも2倍になるなど親の負担も大きくなる。

・同じ学校に通う場合

同じ学校に通い始めたなら、お姉ちゃんが発言したこと(愚痴も)はきちんと聞く。その上でできることを提案する。きょうだい児のことは一生をかけてケアしていかなければならない。

⭐︎就学相談の相談員の方(小学校の特別支援学級での教員経験あり)の意見

・越境通学について

支援級の学区外就学は通常級のそれよりも難しい。特別支援学級は1クラスの定員が決まっているので、越境先の小学校の特別支援学級の児童数や教員数による。また、その小学校に通うことが決まっていないと学校の体験もできないので、体験して気に入らないから学区内の小学校に戻す、ということもできない。

・きょうだい児への学校の配慮について

支援級に在籍する児ときょうだい児が不仲なことはよくあること。学校でなるべく顔を合わせないように教室を離したり、全校生徒が集まる場でも近くにならないように配慮することは可能。

・きょうだい児の関係

学校で顔を合わせたくないというきょうだい児は、家でもきょうだい関係が良くない傾向がある。家では仲が良いのならあまり心配ないと思う。

・息子の今後について

息子くんは身辺自立もできており、特別支援学校に行っても学ぶことはない。本人の成長のためにも、小学校の特別支援学級で周りからたくさんのことを学び、勉強し、将来の就労に向けて学習すべきだと思う。

⭐︎発達について相談しているお医者さん

・息子の越境通学について

お姉ちゃんが一緒に行きたいと言っているのなら二人を無理に引き離すことはない。せっかく良い関係なのにそれが壊れてしまう。同じ学校に通って何か問題が起きた時に対処すれば良い。

・きょうだい児への親の対応

同じ学校に通い始めたら、学校での弟の様子を知りたさにお姉ちゃんに弟のことばかり聞いてはいけない。お姉ちゃん自身の話を一番にきいてあげることがきょうだい児にとってとても大切だ。

 私の疑問・悩みに対して3名の先生方からアドバイスを頂きました。どのお話もとても参考になり、就学後の今でもこのアドバイスを見返しています。

 どの先生も、姉が一緒に行きたいなら姉弟一緒の学校の方が良いという意見でした。また、お答え頂いた中でも私の心に一番刺さったアドバイスは、息子は特別支援学校に行っても学ぶことはない、小学校の特別支援学級で様々なことを学ぶべきだ、という意見でした。息子の成長を一番に考えて進路を決めるのは当たり前のことなのに、私はきょうだい児のことに気を取られ過ぎて息子にとってどこに行くことが一番良いのか、肝心の息子自身のこれからのことを考えていなかったと、とても反省したのでした。息子の成長のために支援級にし、一緒に行きたいと言うお姉ちゃんと同じ小学校に通わせ、何か問題が出てきたらまたその時考えようと心に決めました。

 現在も姉弟で一緒に登校していますが、今のところ問題はないように思います。娘は学校で弟に会うとそのことを嬉しそうに家で報告してくれますし、家でも二人仲良く遊んでいて、関係も悪化していない様子です。

 ただ、娘が弟の悪口を言ったりする時は、娘のフラストレーションが溜まっている時。私が娘ときちんと向き合っていなかったり、娘の話を聞けていない時です。そういう時は私も反省し、娘の話をきちんと聞くようにするとまた仲良し姉弟に戻ります。きょうだい間の関係を安定したものにするためにも、親がきちんとフォローしていくことが大事なんだなと実感しています。

 障がいのある子とそのきょうだい児の関係は、本当に様々だと思います。今回の話はあくまで我が家の場合ですし、違うケースではアドバイスも対応も全く異なるかもしれません。

 もし進学についてきょうだい児の納得を得られなかったなら、専門家の先生との面談にきょうだい児も同行してもらい、直接説明をしてもらうのも一つの方法なのかなと就学相談を経験してみて思いました。

 私は色々な方面の方々に相談をし、自分が大切にすべき大事なことに気づかせてもらいました。一人で悩んでいるとそのことばかり考えてしまったり、大事なことが見えなくなったりします。きょうだい関係や進学で悩んでいる方が一人で悩まずに、あらゆる相談機関で相談することができ、納得できる結果にたどりつくことができると良いなと願っています。

written by なつめ

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