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2年間の療育園生活を振り返って

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息子が今年療育園を卒園しました。
療育園の先生方のおかげで、息子は入園した時と比べると見違えるほどに成長しました。
その療育園で過ごした2年間を振り返ってみたいと思います。

息子が療育園に入園したのは年中の春です。
年少の1年間は私立幼稚園に通っていました。
年少になっても言葉が出ず、集中力がなく、先生の指示が通らない息子。
加配制度のない幼稚園でしたが、自然と息子に加配の先生がついて下さるようになりました。

幼稚園では息子の好きなようにさせてもらっていました。
例えば、
・給食は食べたいものだけ食べる
・苦手な制作など気の乗らないことはやらない
・砂場遊びの時間でも息子だけ違う遊びをしている
・男女交互に行う活動なのに、息子だけ両方の活動に参加している など

先生は息子に無理をさせないようにと考えて下さったのでしょう。
自分の好きなようにできて息子にとっては楽な環境だったと思います。
しかし嫌なことは何もせず、挑戦すらしない、そういう息子の態度に私は不安を覚えました。
そしてやはり息子は他の子と違うなと感じ、発達相談センターに相談したり、発達外来にかかるなどして幼稚園以外の道を模索し始めました。
年中になる時に他市に引っ越す予定でいたので、それを機に私立幼稚園から他市の療育園に転園することにしました。

年中で療育園に入園した際は、生活面での課題が山ほどありました。

・コップやお椀で飲み物が飲めない(ストローがないとダメ)
・スプーン、フォークが上手く持てない。
・お茶は飲まない(こだわりのりんごジュースだけを飲む)
・野菜は絶対に食べず、落ち着いて食事ができない。
・話せる単語が数個しか出ていない。
・お友達に興味がない。
・嫌なことをされても嫌と言えない。
 


療育園はとても手厚く、1クラス10人の児童に対して先生は4人でした。
クラスの先生方は優しいながらも毅然とした態度を見せて下さり、課題が山積みだった息子も少しずつ変わっていきました。
まず、最初の1ヶ月でコップでお茶を飲めるようになりました。
コップでお茶を飲む時は毎回先生が手添えで顎の位置を示して下さるのです。
非常に根気強く息子に合わせてやって下さったのだと思います。
そもそも、りんごジュース以外飲まなかった息子が平然とお茶を飲めるようになっていたことにも驚きでしたが。(←これはどうしてなのか、未だに謎です)

そして入園してから数ヶ月の間に息子に起きた一番の変化は、自信をもって物事に取り組むようになったことです。
嫌なことは絶対やろうとしなかったのに、先生に誘われたら一回はやってみる、という姿勢に変わったこと。
これも先生方がうまく誘導して下さったようでした。

そのうちに、やりたい人ー?と聞かれたら、自信を持って「はーい!」と言えるようになりました。
嫌なこともやってみる、嫌いな食べ物も一口食べてみる、そうこうしているうちに、卒園時にはどんな取り組みにも積極的に取り組めるようになり、給食も毎日時間通りに完食できるようになりました。

先生との信頼関係から人との関わりを学び、言葉もコミュニケーションも増えた息子には、仲良しのお友達もできました。
何をするにもいつも隣同士にいる息子とお友達。
入園時には他の子に全く興味を示さなかったのに、こんなにも仲良くお友達と付き合えるようになったことが、親としてとても嬉しいことでした。

また、入園当初は嫌なことをされてもニコニコしているだけで何も言えなかった息子ですが、「やめて」が言えるようになりました。
自分が使っていたおもちゃを取られた時に、「やめて!」と大きな声で言う姿を見て、自分の主張を声に出せるようになったんだ、と本当に感慨深かったです。


療育園では子どもの療育だけでなく、親の悩みや疑問についても先生方にたくさん相談に乗って頂きました。
その中でも療育園の先生から言われた忘れられない言葉があります。
「親が先回りして子供に何もさせないのは、虐待・育児放棄をして子供に何もさせないのと同じこと。」衝撃的な言葉ですが、その通りだと思いました。
息子ができないと思って私が何でも先回りしてやってしまうと、息子の学ぶ機会を奪ってしまうことになるのだと学びました。
「お母さん、しょっちゅう病気(のフリ)になるといいよ。お母さんがいなくても息子くん、結構何でも自分でできるんだから」とも言われました。
手を出し過ぎないで見守るということは、私にとっては今後も永遠の課題です。

療育園を卒園後は小学校の支援級に通うことになった息子。
療育園を卒園したら療育のプロの先生にご指導頂くことはほとんどないのかなととても不安でした。
しかし、療育園の先生は、

「卒園してもいつでも相談しに来ていいんだからね!!悩んでないですぐに電話してね!!」と言って下さいました。
この言葉だけで私はすごく安心して、今を過ごせています。

療育園には親の会というものがあり、お母さん同士の集まりがありました。
自分の不安なことを相談したり、色々な情報を仕入れることもできました。
私は障害福祉の制度のことや療育、市内の福祉施設について何も知らなかったので、他のお母さん方から本当に沢山のことを教えて頂きました。
息子が幼稚園に通っていた頃の私は、息子を健常児の子と比較してしまったり、他のお母さんと子供のことを話すことが苦しく感じることも多くありました。
一方で、療育園の同じ境遇のお母さん方とお話できるととても励まされましたし、的確なアドバイスを頂けた時は本当にありがたく思いました。
療育園に入園してからは、心穏やかに毎日を過ごせたような気がします。

2年間療育園に通ったことにより生活の基盤を作って頂いた息子は、小学校の支援級に入っても先生の話をよく聞き、周りを見て動き、自分のことは自分でやる、ということが変わらずにできています。
基本的な生活習慣を身につけること、前向きな姿勢で物事に取り組むこと、このことは生きていく上でのとても大事な土台であると感じています。
これからも息子の成長に寄り添い、療育園で作って頂いたその土台にさらに経験や自信、生活力を積み上げて行きたいと改めて思いました。

Written by なつめ